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2012年1月 7日 (土)

苗作りが始まりました

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今年の春野菜の苗作りが始まりました。野菜は直接、畑に種を播く場合と、苗を作って苗を畑に植える方法があります。苗を作る事を育苗と言います。有機農業は苗8分作といういくらい苗が大事です。苗8分作というのは苗で野菜の出来の8割くらい決まってしまうという事です。

 良い苗作りには良い培養土が大切です。培養土とは苗を作るための土の事です。有機農業はもちろん苗の段階でも農薬や化学肥料を使いません。たまに買ってきた苗で有機栽培だとか私に自慢してくる家庭菜園のおじさんがいますが。

 今の農薬の技術はすごくて苗の時に播いた農薬が収穫まで効く場合があります。細胞移行性といって根から茎、茎から葉、葉から実に農薬が移行していきます。

私は苗の培養土に落ち葉堆肥とボカシ、赤土などを使用します。写真の椅子の隣にあるのが昨年の2月に農業技術の匠の橋本先生の指導の下に仕込んだ土ボカシです。土ボカシの材料はオカラやヌカ、もみ殻、落ち葉、ビール粕などです。

ふるいのそばの固まりは落ち葉堆肥です。こちらも昨年の冬に仕込んだものです。一年くらいかかってさらさらに分解しています。

苗の土は重要です。神奈川や他県でも、牛フン堆肥を用いた培養土で、日本では使用が認められていないクロピラリドという海外から輸入される飼料作物の薬害がありました。牛のえさを作るために播いた農薬が牛のふんから出てそのフンを堆肥にしたら、堆肥から薬害が出てしまったという事です。

 そういう事もあって堆肥を自分で作っているわけです。堆肥を作っている有機農家は有機農家の1割くらいです。堆肥作りはとても手間のかかる仕事です。落ち葉を集めて、もみ殻、ヌカなどを配合して、醗酵させて半年以上かかります。生産性は非常に悪いです。また、牛フン、ケイフン、豚糞などはリン酸とカリウムをたくさん含んでいます。リン酸は野菜の横幅を大きくし、カリウムは野菜に水を吸収させます。生産性を考えれば、ウンチで野菜を作れば大きくて見た目の良い野菜がいっぱいできます。ただ、自然というのは落ち葉が落ちて、芋虫やミミズがそれを分解して、ミミズや昆虫を餌にする鳥、鳥を狙う獣、獣や家畜のふん、フンで育つ木々という循環があります。その循環を利用した有機農業をしようと思っています。でも、農家というのは野菜や米を売って生活しています。だから生産性も大切です。だから、うんちで育った野菜が悪いとは全く思いません。

有機農業や安全な野菜が食べたいと思う消費者は、やはり安全性や価格が一番かもしれません。でも、自分が食べるものだけに安全を求めるのはちょっと違うと思います。有機農家がいくら自然を大切にしても、どこかで誰かが、化学物質を播き散らし、排気ガスを撒いて、不必要なものをすてるくらい生産しているのが現実です。私がニンジンを作っている畑の先、数百メートルにはマクドがあって、マックフライポテトの匂いが、畑にまできます。私は何が言いたいのかというと、今の有機農業というのは例えるならば、ベランダの家庭菜園で、必死で安全な物を作ろうとしている農業だという事です。しかし、ベランダの向こうは環境汚染が深刻で、今にもベランダまで汚染が侵入してくるぞという事です。じゃあ、ベランダの小さなプランターを守る事に意味があるか?ある有名な有機農業の研究者に昔、質問しました。「牛フンやらケイフンやら安全な物な物か分からない物を利用して、しかも、どこかから必要とあらば有機資材を購入して、本当に良い事か?」と。その人は言いました「有機農業は世の中が良くなるためのきっかけ作りなんだよ」と。

 農業技術の匠の堆肥名人、橋本先生は農業や有機農業の公共性という事をテーマにしています。化学肥料は重油を燃やして作ったり、地下資源を掘り尽くして生産されています。だけど、有機農業は身近にある落ち葉や食べ残り、家畜のフンを再利用する事で、野菜なり米を作ります。

 原発の影響で、関東や福島の有機農産物に価値を見いだせない人も多いと思います。はっきり言うと来年、福島や関東の特に米農家は有機農業やめてしまうでしょう。売れない物を夏の炎天下に這いつくばって田んぼの草取り、それからなにより米農家は経費の支払いができなければ離農しなくていけないので、続けられないのが現実です。

 でも、橋本先生が言う有機農業の公共性は失われたのでしょうか?

 

今週はレタス類、マスタードリーフ、ミズ菜、春菊、ルッコラを播きました。

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コメント

「ベランダの小さなプランターを守る事に意味があるか?」
あると思います。
みんなが絶望して、「自分がどんなにかんばっても無力だ」と思ってしまったらおしまいです。今井さんのような農家がある!という事が消費者にとっても希望です。
一個人が「自分の価値観を、美学を、信念を守り続ける」姿勢こそが、普遍的な人間の進化につながるのではないでしょうか。

投稿: 片山 | 2012年1月 8日 (日) 22時44分

明けましておめでとうございます。新年から私のぼやきが出てしまいました。
 マスコミは全然伝えませんが、北関東や福島の有機農家は非常に困った状況にあるんです。福島では作った物が9割以上売れ残る、関東でもひどい所は8割から9割、みんな半分以上売れません。みんな借金の支払いにも窮している状況です。おまけに政府は有機農業の風評被害は認めない方針です。
 で、私はやめるかと思うと全くその気はありません。また、来年田んぼを頼まれて増やすんです。もう今年の草取りの対策をいろいろ考えています。冬になってちょっと太ってしまったので、これからランニングを始めて、足腰を鍛えます。今年は田んぼが真っ赤に染まります。もし、よろしければ、ゴールデンウィークくらいに田んぼを見に来てください。

投稿: こたろう | 2012年1月 9日 (月) 19時46分

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