
昨日も草取りありがとうございました。
急な雨と落雷で途中で草取りを中断する事になってしましました。今日の午前にこの田は草取りを完了しました。あと2反(約2000㎡)です。
有機農業は雑草との戦いです。広い面積を利用するという意味の耕地利用型農業の代表である稲作は特に雑草との戦いです。よくドライブをしていると田んぼに雑草ひとつ生えていないで、イネが元気に育っている姿を見ると思います。あれは田んぼに除草剤という農薬を撒いているからです。除草剤を撒かないと田んぼは雑草だらけになります。そうなるとお米をたくさん収穫する事ができません。
神奈川県だとお米を田んぼ1反(1000㎡)作ると農薬を使う栽培でだいたい収穫量400キロくらいです。でも、無農薬で田んぼが雑草だらけになると40キロくらいになる事もあります。無農薬だからお米が少し高く買ってもらえるわけですが、収穫量が10分の1で手間が3倍も4倍をかかっていたら、とてもやっていけないわけです。
農業は自営業で、労働基準法適用外の産業なので、時給0円という事もあります。実際に普通の米農家で耕地面積1ヘクタール未満の農家は時給0円です。伊勢原の農家で米を作っている人は99パーセント時給0円です。これが農業の実態なわけです。そんな環境で、さらに田んぼを草だらけにして40キロしか取れないと時給0円どころか借金を抱える事になります。だから、必死に雑草をとるわけです。
私は親が農業をやっていたわけではありません。だから、農業機械をすべて自分でそろえなければいけませんでした。農機具というのは新しいものを買うと何百万円もします。だいたい親が農業をしていなくて、新しく始めた人は米農家になろうとした場合。2000万円くらい借金します。私は中古品ばかりでやっているのでその半分くらいで済みました。でも、機械が壊れれば、大きな出費が出ていきます。じゃあ機械なんて使わないで、全部手作業でやればいいじゃないかと思いますね。私もその発想で、農業を始めました。1年目は田植機を使わずに手で、田植えをしました。昔の人はみんなそうしていたから、私にもできると思っていました。夫婦ふたりで、1年目に3反半の田んぼを借りることになったので、植え始めたのです。
昔の人をなめてはいけません。数時間しないうちに一向に終わりの見えない田植えにイライラして、とうとう喧嘩が始まりました。結局仲直りして、1反の田を1日半で植えました。それで、それを見ていた農家の方が気の毒に思ったのか、その隣の2反を機械で植えてくれました。機械で植えれば1、2時間で終わってしまうわけです。
収穫もその年は手作業で、カマで刈り取り、天日干しにお米をしました。でも、干したお米が台風で倒されて、穂が雨にぬれて、大変でした。
そんなこんなで、今にいたるわけですが、機械代を捻出するために、自分で作ったお米を販売して、自分達の食べる米は家畜のえさに回す屑米というのを食べていた時もあります。屑米には砂が入っていて、お米を食べながらじゃりじゃりしていました。よく分かりませんが、必死だったし、楽しかったんです。普通の嫁ならとっくに逃げ出していましたね。
前に農業ブームがあって、農業はもうかるぞという事をテレビがやってました。その時は、農業やりたいという若者が良く見学に来ましたが、そういう話をするとみんなやりません。よく、自給自足で幸せなんていう番組がありますが、あれは良い所しか放映していないんです。農家は朝から晩まで働いて手元に残ったお金がほとんどない、だから時給自足しているんです。
田んぼの雑草と関係ない事を書きましたが、べじたろう農場という名前で、なんで米作っているかというお話です。それは、お米というのが大問題だからだと、思ったからと、お客さんがおいしいと言ってくれて、勘違いしてしまったからです。
田んぼで作業していると、田んぼで見る人は高齢のおじいさんおばあさんばかりです。こりゃ、田んぼの未来はないなとすぐに分かりました。居酒屋のワタミがワタミファームを言う農場で有機栽培で野菜を作っています。元会長の渡辺さんはテレビで、農業番組に出ると稲作農家に向かって「有機栽培米に転換すれば良い」、そうすれば付加価値が高くて、もうかるぞなんて事を言います。で、ワタミファームは有機栽培米を作っているかと言うと、「米は不採算だから撤退」しています。自分でできない事を人に簡単に押し付ける人なんです。また、話がそれました。
そう、お客さんがおいしいと言ってくれたので、お米を作っているのです。明日、草取り終わると良いです。
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